とめよう戦争への道!百万人署名運動

署名運動をとおして、改憲・戦争への道を許さない闘いを全国的に広げていきます。

動労千葉は3月18日~19日、23春闘勝利!3月ダイヤ改正阻止!統括センター化・「その他時間」撤回!構内要員削減・首都圏本部化阻止!に向けたストライキに立ちあがりました。
(18日のスト総決起集会)
動労千葉2
今春闘をめぐっては、岸田首相が「賃上げが必要だ」と言い、それを受けて財界・大手企業が軒並み「満額回答」を出すという異様な光景がつくり出されています。これまで徹底した組合つぶし・賃下げをやってきた連中が何をか言わんやということですが、政府・財界がいかに危機的状況にあるかを示していると思います。

片や、労働者の怒り、資本から闘い取らなければならない問題は山積しているのに、連合はその怒りを抑えこみ労働者の闘いへの決起を弾圧し、政府・財界に協力しています。その対極で動労千葉は、「労働者の団結した力」こそ職場・社会を変える力だと、ストライキで会社と対決しぬいています。

業務融合・統括センター化攻撃

今回、動労千葉は、大きくは「業務融合化撤回!」「構内要員削減阻止!」を掲げて、運転・車両研修部門におけるストライキに立ち上がりました。
動労千葉1
業務融合・統括センター化とは、広範なエリアを「一職場」とし、駅業務をさせるのも、運転士・車掌をさせるのも、「勤務指定一つで会社の自由」というものです。これに対し動労千葉は断固反対で闘ってきましたが、引き続き「労働者の権利は働く場所や職種と切り離せない。権利の根本を解体する重大な攻撃だ」「これまでの鉄道のあり方を覆す歴史的攻撃だ」と撤回を求めて闘っています。
(ストに立った労働者の声)
unntenn-1

戦時下におけるスト闘争

総決起集会で動労千葉の関委員長は、岸田政権が敵基地攻撃能力保有や大軍拡予算など戦争国家化に突き進んでいることを弾劾し、「今回のストは、戦時下において、闘う労働組合を再生させる闘いだ」とその意義を語りました。そして、「賃上げや労働条件を勝ち取るのも、戦争を止めるのも、労働者の団結した力だ。闘う労働組合の再生に向け最後までストを貫徹しよう」と訴えました。

東京のJRホームではJR駅員の姿が消え外注企業のガードマンに入れ替わりました。けれどもさらに、運転手が車掌も兼務、乗務以外の仕事も兼務など考えてもみませんでした。利益優先安全無視です。それは日々電車を利用している乗客の安全も無視しているということで、私たちの命に直結していることです。
鉄道の安全を破壊しているJR資本のとんでもない攻撃を知り、これと果敢に闘いぬいている動労千葉の闘いに連帯していきましょう。(S)




3月16日(木)10時12分から11時40分すぎまで、今国会3回目の衆議院憲法審査会が開催されました。前回よりさらに開会時間が遅れましたが、事情はわかりません。この日の審査会も「日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正をめぐる諸問題」について各会派の代表が1人7分ずつの持ち時間で発言した後、会長に指名された委員が5分以内で意見を述べるという形で進められました。

yurusuna
冒頭に新藤義孝氏(自民)が「今週は国民投票法についても討議を行いたい」、最後に階猛氏(立民)が「国民投票法など憲法改正手続に関する議論が今週、来週の2週にわたり行われることになった」と述べ、改憲手続法がテーマの1つとされたことが明らかにされましたが、階氏が苦言を呈したように、「発言者の中には、国民投票法について全く言及がないかほとんど言及がない」委員がいて、実際には今回も緊急事態条項をめぐる議論が中心になっていました。

そうした実態を、まず、毎回転載させていただいている『東京新聞』のウェブサイトに掲載された記事=見出しに注目してください=で確認したいと思います。

緊急事態条項めぐり議論 改憲勢力の中でも見解に差 衆院憲法審【詳報あり】
『東京新聞TOKYO Web』2023年3月17日

衆院憲法審査会は16日、今国会3回目の討議を行った。緊急事態時に国会議員任期の延長などを可能とする改憲を巡り、自民党が衆参両院の過半数の賛成で「緊急事態」と認定する案を訴えたのに対し、公明党や日本維新の会などは3分の2以上の多数の賛成にする必要があると主張し、改憲勢力の中でも見解が分かれた。

自民党の新藤義孝氏は、緊急事態の国会承認の要件について「選挙によって示された民意を尊重する観点で判断するべきだ」と述べ、予算案や法案と同様に過半数を支持すると表明。一方、公明と維新、国民民主党、無所属議員でつくる会派「有志の会」は「原則や現状を変更して特別な状態を作り出すときには、3分の2以上の議決を必要とするのが適切」(国民の玉木雄一郎代表)などと指摘した。

立憲民主党や共産党は、安倍政権下で首相官邸側の働き掛けによって放送法の新解釈が示されたとされる問題に言及。改憲案の国会発議後にテレビ局への不当な政治介入が行われ、国民投票の結果がゆがめられる恐れがあると強調した。
立民の近藤昭一氏は、テレビCMやインターネット広告の量的な規制がない現状では、資金力によって世論が誘導されかねないと懸念を表明。「公平公正な投票環境が確保されない限り、改憲発議はできない」として、国民投票法改正に向けた議論を優先させることを求めた。(佐藤裕介)

◆詳報
16日の衆院憲法審査会での発言の要旨は次の通り。
【各会派代表の意見】
新藤義孝氏(自民)
緊急事態認定の国会承認の要件について、過半数議決なのか、3分の2以上の特別多数議決とするか、本質的な議論が必要だ。多数政党によるお手盛りを避けるということではなく、選挙によって示された民意、すなわち、議会制民主主義を尊重するという観点で判断するべきだ。過半数議決は3分の2議決に比べ軽い判断とは言えないと思う。
近藤昭一氏(立憲民主)
2021年、国民投票法が改正された際、施行後3年をめどに有料広告規制、資金規制、ネット規制などの検討と必要な法制上の措置を講ずるという付則が加えられた。グローバル化、ネット化など大きな変化があり、外国政府の干渉の恐れもある。現行の国民投票法では公平公正な投票が確保されるという憲法上の要請が満たされなくなる。
三木圭恵氏(維新)
私たちは(緊急事態時の)議員任期が内閣と国会により不当に延長されることを避けるため、司法の関与が必要とした。延々と選挙が行われず、民主主義が遠のくことは避けなければならない。例えば、政権与党が3分の2以上を占め、選挙を行わない場合が想定できるが、司法の介入がなければ、このような事態を脱することはできない。
吉田宣弘氏(公明)
わが党は(任期延長の)判断に必要な情報は内閣にあり、裁判所が迅速に判断できるか疑問だとし、決議に(3分の2以上の)特別多数を必要とすることや、任期延長の期間に上限を設けることで乱用を防止できると指摘している。最終的には(緊急事態解除後の国政選挙で)国民の判断が示されるので、司法が介在する必要はないと考える。
玉木雄一郎氏(国民民主)
緊急事態条項について残された論点を意見集約し、具体的な条文作りに入ることを提案したい。選挙困難事案の国会承認は、憲法に規定された(衆院議員)4年、(参院議員)6年の任期の特例を認める以上、原則や現状を変更して特別な状態を作り出すときに当たるので、3分の2以上の議決を必要とするのが適切ではないか。
赤嶺政賢氏(共産)
政権の中枢が政権に批判的な放送番組に圧力をかけていたことは極めて重大だ。日中戦争から太平洋戦争へと突き進む中で、政府は放送に対する統制を強め、戦争を進めるための番組を放送させた。この教訓から、憲法は表現の自由を保障し、そのもとで作られたのが放送法だ。政府が放送番組を評価し、介入することなど到底認められない。
北神圭朗氏(有志の会)
ネットでは玉石混交の情報が氾濫する。憲法改正という重大な判断にあたって、国民の自律的な意思が阻害されないよう、ファクトチェック機関との連携も重要だ。国民投票広報協議会も各政党の主張をインターネットに大量に流すことができるようにするべきだ。対処法は「玉」を圧倒的に流し込み、可能な限り「石」を埋没させることだ。

【各委員の発言】
小林鷹之氏(自民)
政府広報室が今月公表した世論調査によれば、自衛隊に対し、9割を超える人が肯定的に回答している。防衛は国家権力発動の最たるものだからこそ、憲法上明文の規定があるべきだ。
道下大樹氏(立民)
15年に高市早苗総務相が示した、「政治的公平」を放送事業者の番組全体ではなく、1つの番組で判断できるとの解釈が、番組内容に対する圧力、忖度の温床となり、国民投票の結果をゆがめる危険がある。
岩谷良平氏(維新)
憲法に規定されている除名は、議員の身分を例外的に任期前に失わせる議決について、慎重を期す必要性などから、特別多数とされている。任期を延長する場合にも特別多数とすることが、除名と均衡が取れる。
北側一雄氏(公明)
誤った情報、デマ、フェイク情報等は社会の混乱を招くが、情報の発信そのものを規制するのは容易ではない。情報統制になり、国民の知る権利や表現の自由を侵害する。
細野豪志氏(自民)
今後、コロナを上回る強毒化した感染症、国家有事の可能性を考えると、(緊急事態時の議員任期延長は)緊急性の高い課題だ。一方、間違っても国会議員の保身と取られないようにする細心の注意が必要だ。
階猛氏(立民)われわれは、国民投票広報協議会が憲法改正案に関する説明会を開催できるようにし、ネット等利用して憲法改正案の広報ができるようにする改正案をまとめた。
* 引用、ここまで。

緊急事態条項の議論は、前回新藤氏(自民)が提示した論点(下に再掲します)をめぐって、改憲勢力の各会派が「わが党の案はこうだ。私たちはこう考えている」、「この点は一致しているが、ここはまだ違いがあり、さらに議論が必要だ」などと述べる形で進みました。
発言の内容について上掲の記事に付け加えるべき重要な事項はなかったと思いますが、私としては「改憲勢力の中でも見解に差」ということより、新藤氏の敷いた道筋に沿って一致点を見出し改憲の条文案をできるだけ早くとりまとめようとする議論が着々と進んでいることの方が気になりました。
新藤の表
 

吉田宣弘氏(公明)の異様な発言

議論の本筋からは離れますが、緊急事態条項に関する会派代表としての意見表明の中で吉田宣弘氏(公明)が次のように述べたことに、私は大きな違和感を覚えました。
「緊急事態条項の論点について、このたび新藤筆頭(幹事)から論点整理を行っていただいたことに感謝と敬意を表します。」
「日本維新の会、国民民主党、有志の会による条文案を策定する積極的なお取組みには、深く敬意を表するところです。」
「お取組み」だなんて(ふつう「取組み」に「お」をつけますか?)、おべんちゃら(ではなく本心かもしれませんが)にも程があると思います。
1-国会前
(この日は国会や首相官邸前に機動隊の車が何台も並んでいました。韓国のユン大統領が来日し官邸で岸田首相との会談があるからなのでしょうが、とても異様な光景でした。)

一方、改憲手続法(国民投票法)をめぐる議論については、『毎日新聞』のウェブサイトから簡にして要を得た記事を転載させていただきます。

憲法改正の国民投票CM規制、与野党の溝埋まらず 衆院憲法審
『毎日新聞 』2023年3月16日

衆院憲法審査会は16日、自由討議を行い、憲法改正の国民投票に関するCMなどの規制について議論した。自民、公明両党が表現の自由を重視する立場から法規制に慎重な姿勢を示したのに対し、立憲民主党は法規制の必要性を主張して、溝は埋まらなかった。

現行の国民投票法は、投票の14日前から投票・棄権を呼びかけるテレビ・ラジオの有料広告を禁じているが、それ以外の期間の規制はなく、インターネット広告も規制対象外だ。

立憲は、政党による意見表明のためのテレビCMやインターネット有料広告を禁止するなどとした独自の改正案をまとめている。立憲の近藤昭一氏は「現行法はテレビやネット広告の量的規制がなく、資金力によって世論が誘導されかねないという根本的な欠陥を持っている」と主張し、階猛氏も「我々が提案する改正案などを踏まえ、議論を進めるべきだ」と述べた。

これに対し、自民の小林鷹之氏は「立憲案では、表現の自由や国民投票運動の自由の過度な制約となるおそれがないか。憲法改正内容を最もよく知る立場にある政党に規制をかけることは国民に対する情報提供の観点から問題はないのか」などと疑問を投げかけた。

公明の北側一雄副代表も「あえて法規制をすれば、国民の知る権利や表現の自由を侵害し、大事な必要な情報まで排除される危険もあるのではないか」とただした上で、改憲案の内容を広報するために国会に設置される広報協議会の役割強化や、政党の自主規制のルール化が必要だとした。

与党とともに法規制に慎重な日本維新の会はCM規制に言及せず、国民民主党の玉木雄一郎代表はSNS(ネット交流サービス)関係者の参考人質疑を要求した。共産党の赤嶺政賢氏は「(立憲と)共通の問題意識は持っている」としつつ、放送法の「政治的公平」に関する行政文書を巡る審議を求めた。【安部志帆子】
* 引用、ここまで。

要するにテレビやネットをめぐる問題について、自民、公明は効果的な規制は難しいので「言論の自由」を盾にとって民放やネット事業者の自主規制論で済ませようとし(公明党の北側一雄氏は今回「広報協議会」の役割強化や政党側の自主規制のルール化の必要性を強調しましたが、これは自主規制論の対象を国会や政党にすり替えようとするものだと思います)、維新の会はほとんど関心を持っていないということです。議論はするけれども深入りすることは避け、早期に改憲手続法の改定を実現して発議や国民投票が可能だと主張できる状況を整えたいということでしょう。

放送法の解釈変更問題も浮上

このほか、『東京新聞』の記事にもあるように、赤嶺政賢氏(共産)と道下大樹氏(立民)が、憲法に関わる重要な問題として安倍政権時の放送法の解釈変更に言及し、「重大なことは、岸田首相が安倍政権下の政治的圧力で変更された解釈を踏襲していることだ」(赤嶺氏)、「当審査会に総務大臣、NHK会長など放送事業者、有識者を招致し、参考人質疑を行うよう会長にお願いする」(道下氏)などと主張しました。

前回までの審査会では、憲法に基づく野党の要求を無視した内閣の国会召集の回避、国会での議論をスルーしたままでの安保3文書の改定と岸田内閣の軍拡路線、そして同性婚の問題等も憲法に関わる重要なテーマとして提起されましたが、いずれも言いっ放しになっているのが実態です。

石破茂氏(自民)、憤然として退席

最後に一つ、傍聴していなければわからなかった場面を報告しておきましょう。
審査会後半の自由討論では、まず発言を希望する委員が名札を立てて会長の指名を待つことになっています。たいていは事前に発言者がほぼ決まっているようなのですが、この日は名札を立てた委員のうち石破茂氏(自民)だけが最後まで指名されず、発言の機会を与えられませんでした。
おそらくは時間切れのためだろうと思われますが、新藤氏が石破氏の席まで近づいて今回は発言できないことを説明したところ、閉会の直前でしたが石破氏は憤懣やるかたない様子で一足先に席を立って議場から去っていきました。(以上、あくまでも私の推測です。)

この日の傍聴者は30人弱で前回よりさらに少なくなりましたが、記者は7~8人ほどで前回並みした。
委員の出席状況は相変わらずで、自民以外は時々席を外す委員はいるものの全員が出席、自民は時間が経過するとともに欠席者が増え、途中からは常に5人以上、10人近くになることもありました。

今国会での衆院憲法審の開催は3回目ですが、緊急事態条項の議論がじわじわと進んでいます。定例日はまだ12回残されており、前回報告したように維新、国民、有志の会が具体的な条文案づくりを始めていますので、今後一挙に発議に向けた動きが具体化する可能性があります。

新藤議員の「緊急事態条項」の論点整理の資料にもあるように、緊急事態(戦争、大災害、内乱、感染症)の認定は内閣が行います。今のところ憲法審で改憲勢力間でほぼ合意しているのは議員任期の延長にとどまっていますが、自民党などは内閣に政令づくりや財政処分の権限を与える規定を設けることを狙っています。そうなってしまえば、戦争や内乱時に首相が緊急事態を宣言したら憲法の基本的人権を無効化する「緊急政令」が次々と発せられ、反戦運動は暴力的に抑え込まれ、政府に反抗する者には重罰が課せられ、戦争動員を強制される等々、悪夢のような事態が現実化するおそれがあります。これがどんなに恐ろしいことであるか、私たちは今、真剣に考え抜かなければなりません。

また、今回9条についても議論すべきだと発言したのは小林鷹之氏(自民)くらいでしたが、もちろんこちらも警戒を怠ることはできません。改憲手続法の議論についても、中途半端ではあっても改定されれば改憲勢力は発議、国民投票の条件は整ったと主張するでしょうから、注視していく必要があります。
毎回同じことを書いていますが、改憲をめぐる情勢がたいへん厳しい中、私たちは今できることをやっていくしかありません。ともに頑張りましょう!(銀)



福島からの報告です。
* * * * * * *

原発事故から12年を迎えた3・11反原発福島行動23は、福島市青少年会館での集会&福島駅までの市内デモ行進として行われました。好天に恵まれ全国から550名の参加があり、汚染水海洋放出攻撃断固阻止に向けた大きな地平が切り開かれました。
福島1
本集会に先立ちプレイベントとして「12年目のフクシマ 大熊、双葉、浪江、飯舘」と題したDVDの上映とミニコンサートが行われました。
13時からの集会では、3・11実行委員会の椎名千恵子共同代表が主催者挨拶を行い、続いて「福島からの訴え」として県内各地から参加した人々が一斉にステージに登壇しました。

最初に浜通りから漁民の方のビデオメッセージが会場に流されました。
「我々は、板子一枚下は地獄という中で何で魚を捕ってくるのか。消費者においしく食べてもらうためだ。(風評対策で)冷凍したり保管したりするために捕ってくるのではないんですよ、廃棄処分するための魚を捕って何するんですか。」「皆さんの力がないと国が暴走しているのを止めることできないから、漁師であれ誰であれ海はみんなのものですから、みんなの力で止めてください。海に流すことは止めてください。」 
この痛切な訴えを私たちはしっかりと受け止めなければなりません。原発汚染水の海洋放出は絶対に阻止です。
福島2
続いて県内からの訴えとして、全国農民会議共同代表で酪農家の鈴木さん、浜通り地方、中通り地方の住民の方が、原発事故直後の被曝・被害の状況を述べ、海洋放出に対する怒りの気持ちをそれぞれ語りました。ふくしま共同診療所の杉井医師はメッセージで、診療所開設から10年を振り返り、「戦争反対」「核と人類は共存できない」の思いを、岸田政権の汚染水海洋投棄と原発政策大転換に対する大反撃として全力で取り組もうと呼びかけました。飯舘村の伊藤さんからのメッセージも読み上げられ、全体で怒りを共有しました。また、ドイツ・ゴアレーベンなど海外からもメッセージが寄せられました。
福島4
この後、全国の闘う仲間からの発言がありました。農地強奪の強制執行攻撃と体を張って闘いぬいた三里塚反対同盟から伊藤信晴さんが闘いの報告と今後に向けた不屈の決意を語り、さらに、動労千葉の関委員長や星野暁子さん、杉並区議の洞口とも子さん(メッセージ)、全学連など次々と闘いの報告と決意が語られました。
最後に、8・6ヒロシマ大行動実行委から戦争会議そのものであるG7広島サミットを許さないという特別アピールがあり、5月19日~20日、サミット反対の広島現地闘争への決起が訴えられました。

福島3
14時46分に全参加者で黙とう。今後の行動提起のあと、福島の怒りと思いが込められた集会宣言が読み上げられ、会場全体の感動の拍手で確認されました。
1-311集会宣言
集会後、福島駅前までの約4キロのデモに打って出ました。デモ出発前、浪江の吉澤さんが怒りのアピール。「戦争に直結するさまざまな動きに対して、断乎たたかっていこう!」
福島5
デモに対し、警察権力が右翼を使って弾圧を策しましたが、これを完全に粉砕して沿道の市民と感動的な合流をかちとりました。(3・11反原発福島行動実行委員会事務局)
福島6

3月9日(木)10時5分から11時40分すぎまで、今国会2回目の衆議院憲法審査会が開催されました(開会時間が少し遅れたのは幹事会が長引いたためと思われますが、その理由はわかりません)。

この日の審査会も、前回に引き続きテーマを特定の問題に絞ることなく、「日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正をめぐる諸問題」について各会派の代表が1人7分ずつの持ち時間で発言した後、会長に指名された委員が5分以内で意見を述べるという形で進められました。
yurusuna
今回の報告でも、まず、発言者の意見が簡潔に紹介されている『東京新聞』のウェブサイトに掲載された記事を転載させていただきます。また、今回は『NHK NEWS WEB』にも有志の会を除く各会派代表者の発言の要旨が「衆院憲法審査会 緊急事態の認定の在り方などについて各党主張」と題して掲載されていましたので、あわせてご紹介します(『東京新聞』の記事の間に▽で挿入)。

緊急事態条項めぐり議論 「条文案作成」に維新・国民民主など着手 衆院憲法審【詳報あり】
『東京新聞TOKYO Web』2023年3月9日

衆院憲法審査会は9日、今国会2回目の自由討議を行い、与野党が憲法への緊急事態条項の新設を巡って意見を交わした。自民党は論点整理の議論の加速を訴え、改憲を目指す3会派は条文案作成を主張。立憲民主党や共産党といったリベラル系の野党は改憲しなくても現行憲法下で有事に対応できると反論した。

自民党の新藤義孝氏は緊急事態時の任期延長について「上限を1年とし、再延長も可能とするのが合理的だ」と提案。内閣に国会が議決していない予算の執行と法律の制定を認めることなど八つの論点の資料を配布し、議論するよう各党に促した。

公明党の北側一雄氏は、2011年3月の東日本大震災を受けて地方選挙が延期されたことに触れて「巨大地震が起こった時は被災地だけでなく、全国的に国政選挙などできない」として、任期を延ばす規定の必要性を訴えた。

日本維新の会と国民民主党、無所属議員でつくる「有志の会」は、月内に緊急事態条項の条文案をとりまとめる方向で実務者協議を始めたと説明。国民の玉木雄一郎氏は、審査会の議論加速に「寄与したい」と意欲を示した。

一方、立憲民主党の奥野総一郎氏は、衆院が解散されていても参院で緊急集会を開催できると指摘した上で「非常時でも国会をまず動かすべきだ。緊急事態条項を設けるまでもなく、現在の制度でかなりのことができる」と主張。

共産党の赤嶺政賢氏は「『緊急事態』と称して政府に権力を集中させ、国民の権利制限を強化しようとしている」と批判した。(佐藤裕介)

詳報
9日の衆院憲法審査会での発言の要旨は次の通り。 
【各会派代表の意見】
新藤義孝氏(自民)
大規模自然災害など四事態、その他これらに匹敵する事態、五つの事態の発生により適正な選挙実施が困難な状況に陥ったときに議員任期の延長が必要になること、選挙困難の認定は内閣が行い国会の事前承認を必要とすることは、自民、公明、維新、国民、有志の会の5会派で一致している。任期延長期間の上限を1年とし、再延長も可能とすることが合理的ではないか。
▽ 自民党の新藤政務調査会長代行は、緊急事態の対応を憲法に規定すべきだとしたうえで「緊急事態の認定と国会議員の任期延長の判断は、内閣と国会が責任を持って行い、裁判所に委ねるべきではない。国会機能が維持できない場合に備え、内閣が緊急に立法措置や財政支出をできる制度の整備も必要だ」と述べました。

奥野総一郎氏(立憲民主)
非常時でもウクライナのように国会をまず動かすべきだ。緊急事態条項を設けるまでもなく、現在の制度でかなりのことができる。拙速な議論を進めることは反対だ。国民投票法の付則に、インターネット等の適正な利用の確保をはかるための方策やCM規制など国民投票の公平公正を確保するための検討を加え、必要な法制上の措置を講じると規定している。
▽ 立憲民主党の奥野総一郎氏は「非常時でも、ウクライナのように国会は動かすべきで、憲法に緊急事態条項を設けなくても、現在の制度でかなりのことができる。参議院の緊急集会や裁判所の関与の在り方などの議論も必要で、拙速に進めるべきではない」と述べ、慎重な姿勢を示しました。

岩谷良平氏(維新)
国会の事前承認の際の議決要件について、維新、公明、国民、有志は「出席議員の3分の2以上の賛成」で一致。自民は「議論が必要」だ。裁判所の関与については、維新は憲法裁判所、国民と有志は最高裁判所による事後統制を考えている。公明は裁判所の関与は「疑問あり」、自民党は「不要」だ。細部について詰めの議論を行い、考え方を集約していくべきだ。
▽ 日本維新の会の岩谷良平氏は「議員任期の延長は、詰めの議論を行って、考え方を集約していくべきだ。緊急事態で立法府や行政府によって特例的な権限が乱用されないよう、憲法裁判所による事後統制が必要だ」と述べました。

浜地雅一氏(公明)
東日本大震災の影響を受けた地域において、臨時特例法で地方議会選挙の期日を延長し、議員の任期も延長した。仮に国政選挙が予定されていれば、国会議員の任期延長の問題に直面していた。また、コロナ以上の感染症がまん延した場合、国政選挙の実施が困難となることはあり得るとの危機意識のもとに、この問題を議論している。一定の結論を出すのは今だ。
▽ 公明党の濱地雅一氏は「参議院の緊急集会は、通常国会や臨時国会のような機能を有していない。緊急事態には、二院制の原則のもと、フルサイズの国会機能を行使する必要があり、今こそ、議員任期の延長に一定の結論を出さなければならない」と述べました。

玉木雄一郎氏(国民民主)
維新、有志とともに緊急事態条項の条文案をまとめるための実務者協議をスタートさせた。今月中には成案を得て、条文案を審査会に示し、議論の加速化に寄与していきたい。
「選挙実施困難」要件の具体的な中身について、70日間、あるいは、80日間以上の長期にわたって衆院の開会が見込めない場合には、議員任期の特例延長を認めるべきと考える。
▽ 国民民主党の玉木代表は「議員任期の延長は、議員のお手盛りを防止するため、一定の司法の関与を盛り込むべきだ。緊急事態条項の具体的な条文案づくりに入るべきで、今月中にも、日本維新の会などと案をまとめ、審査会に示したい」と述べました。

赤嶺政賢氏(共産)
東日本大震災やコロナ感染症の拡大においても、緊急事態条項がなかったから対応できなかったという問題は起きていない。緊急事態と称して政府に権力を集中させ、国民の権利制限の強化をしようとしている。国会の権能を奪い、基本的人権を抑圧する憲法停止条項だ。一方で、国会議員の身分だけは延長する規定を盛り込もうなど、保身のための議論も甚だしい。
▽ 共産党の赤嶺政賢氏は「東日本大震災や新型コロナの拡大でも、緊急事態条項がなかったから対応できなかったという問題は起きていない。極端な事例を出して議論すれば間違う危険性が高く、改憲議論自体が問題だ」と述べました。

北神圭朗氏(有志の会)
「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」という憲法9条2項の文言は変わらないまま、解釈だけで集団的自衛権、反撃能力も認められることになった。条文としての統制力はないようなもの。9条の統制力の形骸化を止めるためにも、2項を削除し、必要最小限度の実力については法律や政策で柔軟に対応することが望ましい。

【各委員の発言】
船田元氏(自民)国民投票運動は基本的に自由で、法的な規制はなるべく避けるべきだ。ネット特有のゆがみを是正するには、情報の総量を増やし、言論の自由市場で淘汰していくしかない。
城井崇氏(立民)憲法53条の臨時国会の召集義務について、政府の対応に問題がある。召集期限の明確化が必要だ。野党4党は、要求から20日以内の臨時国会召集を規定する議員立法を提案している。
小野泰輔氏(維新)緊急事態において、緊急政令を発出するような場合、最高裁が判断する枠組みの中で機能するのかという問題がある。憲法裁判所でこそ、政府の判断が適切かどうかきっちり判断できる。
務台俊介氏(自民)最近の世論調査でも6割以上が憲法改正の必要性を認識している。社会環境や安全保障環境の変化に対応した憲法議論の必要性について、多くの国民がその意識を高めている。
篠原孝氏(立民)岸田首相は「安保政策の大転換」と言うが、平和な時代にすら国会に諮ることなく政府で決めた。緊急事態になったら、国会は全く無視されて、今以上に行政が突っ走るのではないか。
北側一雄氏(公明)東日本大震災から12年たつ。そのときに国会がどういう対応をしたのか検証し、(国会議員の)任期延長の問題についてもさらに詰めた議論をしていきたい。
* 引用、ここまで(太字は引用者)。

毎週定例日開催論の欠陥が露呈

上掲の記事で、城井崇氏(立憲民主党)が憲法53条に規定されている臨時国会の召集義務に政府が対応しない事例が相次いでいると指摘したことが紹介されていますが、これに対して、小野泰輔氏(日本維新の会)は「それをおっしゃるのなら予算委員会の開催中も憲法審査会の開催に応じるべきだ」と発言しました。牽強付会もいいところです。

ところで、この日衆議院では憲法審査会と同時刻に安全保障委員会が開かれていました。安保委は9時から12時過ぎまで行われていましたので、憲法審と完全に重なっていたわけです。このため、憲法審では下記のような事態が起こりました。

立憲民主党の新垣邦男氏は、開会後短時間だけ顔を見せ、すぐに代理の阿部知子氏と交代しました。新垣氏は、その後安保委で10時31分から28分間質疑に立っていました(「衆議院インターネット審議中継」による/以下、同じ)。
日本維新の会の三木圭恵氏は最初から代理を立てて欠席、安保委で11時21分から21分間質疑を行いました。三木氏は安保委の理事を務めています。
公明党の浜地雅一氏は憲法審で10時29分から9分間意見を述べ、しばらくすると代理を立てずに席を外しました。浜地氏は安保委の理事を務めていますので、おそらくそちらに回ったものと思われます。
共産党の赤嶺政賢氏は憲法審で10時48分から8分間意見を述べるとすぐに代理を立てずに退席、その後安保委で12時2分から20分間質疑に立ちました。

つまり、憲法審と安保委が同時刻に開催されたため、両者の委員を兼ねる何人かが憲法審の審議に(安保委の審議にも)参加できない時間帯が生じたわけです。それでも憲法審は毎週定例日に必ず開催すべきなのでしょうか。全委員が出席できるように日程を調整し、それができないときは開催を見送るのが当然だと思います。

新藤筆頭理事(自民)、緊急政令・緊急財政処分の議論を主張

下の図は、新藤義孝氏(自民)がこの日の発言のために配布した資料です。これまでの議論を整理したものということですが、「論点」の1つとして抜け目なく「緊急政令・緊急財政処分」が組み込まれています。岩谷良平氏(維新)も、この論点について「引き続き議論を前に進めていくべき」だと言及していました。玉木雄一郎氏(国民)は、維新、有志の会とともに緊急事態条項の条文案をまとめ、「今月中に成案を得て審査会に示したい」と述べていましたが、そこに緊急政令等が含まれるのか否か、注視していく必要があります。

新藤の表
 

奥野氏(立民)まで9条の議論を呼びかけ

この日、いちばん驚いたのは奥野総一郎氏(立憲民主党)の以下のような発言でした。奥野氏は、「今回、反撃能力の保有を認めたことにより専守防衛の中身も変わってしまい、9条2項の空文化、削除に等しい効果が生まれると思う」と指摘したうえで、「憲法審査会で9条が許容する必要最小限度の実力の新たな歯止めについて議論し結論を出したらどうか。参考人質疑、集中討議を求める」と述べ、さらには「石破先生が詳しいのでご意見をうかがえれば」とまで言ったのです。上掲の記事を含めて大手メディアでは(私がザッと調べた範囲では)奥野氏の意見表明のこの部分は報じられていませんが、まさに驚天動地の内容ではないでしょうか。

yjimage

9条については、北神圭朗氏(有志の会)も「憲法の統制力の形骸化に歯止めをかけ、防衛政策の論議を現実に即したものにし、自衛隊違憲論を払拭するという3つの理由から、2項の削減を主張する」と述べました。
自民、維新がこれに便乗し、緊急事態条項とあわせて9条改憲を早い時期に憲法審の議論の俎上に載せようとしてくる恐れがあるかもしれません。

赤嶺氏(共産)の発言に傍聴席から拍手が

最後に、赤嶺政賢氏(共産)の発言を紹介しておきましょう。赤嶺氏は上掲の記事にあるように緊急事態条項の議論を非難した後、岸田政権が進めている軍拡政策についても批判を加えました。
以下、『しんぶん赤旗』のウェブサイトから引用します(「軍拡反対の声 受け止めよ 衆院憲法審 赤嶺議員が主張」と題した記事の一部です)。

「赤嶺氏は、岸田政権が、政府が存立危機事態と認定すれば、集団的自衛権を行使して相手国領土へのミサイル攻撃まで可能だとしたことは「憲法上絶対に許されない海外での武力行使そのものだ」と厳しく批判。国民から軍拡反対の声が上がっているとし、「この声を正面から受け止めるべきだ」と述べ、徹底した外交努力こそ憲法は求めていると主張しました。」
赤嶺氏の前に意見を述べた新藤、奥野、岩谷、浜地、玉木の各氏の発言にうんざりしていたのでしょう(私もそうでした)、傍聴席の数人から思わず(傍聴席では禁じられているのですが)拍手が起こりました。

この日の傍聴者は30人強、記者は5~8人ほどで、今国会初の開催であった前回より少なかったです。TVカメラも入っていませんでした。
委員の出席状況は、上述のとおりいつもと違って途中から公明、共産の各1名が退席しました。自民党はいつになく欠席者が少なく、1~3人程度の時間帯が長かったです。

今国会で憲法審の定例日はまだ13回も残されています。今回報告したとおり、今後、緊急事態条項の議論が緊急政令・緊急財政処分に進んだり、9条の改憲が取り上げられたりする可能性があります。改憲をめぐる情勢はたいへん厳しいですが、今できることをやっていくしかありません。ともに頑張りましょう!(銀)


明日で3・11東日本大震災から丸12年となります。あってはならなかった福島原発事故から12年です。大地震・大津波で筆舌に尽くせぬ大惨事となり、さらに福島第一原発の爆発で大量の放射能が放出され、多くの命が奪われ、生活が破壊され、いまなお放射能汚染は続いています。

その解決に全力を尽くすべき政府・東電は、責任を放棄して被災者を見捨てています。岸田政権は大軍拡と一体で原発推進に突き進んでいます。絶対に許せません!

2月26日に杉並で行われた「ビキニデー企画~汚染水海洋投棄をとめよう!講演集会」(主催:NAZEN東京)で福島・浪江町の吉澤正巳さんからの火を吐くような訴えがありました。3.11を前にして、この福島の怒りを共有し、7月ごろと言われる放射能汚染水の海洋放出を阻止していきましょう。吉澤さんの訴え(抜粋)を紹介します。(T)

*******

 いま牧場には200余の被曝した牛がいます。最後までこの牛の世話を続けて、国がいま原発時代に逆戻りをたどろうとしている時、原発の時代を乗り越えていくという強い気持で、国の方針に反する闘いの場所として牧場でがんばります。
 住んではいけない場所に住んで、僕も牛も被曝している。だけど僕は命の扱いはどうすべきだということをずっと考えてきました。あまりにもひどい命の扱いがそこら中にありました。2万1500人が住む浪江町は双葉郡で一番大きな町でした。漁港のある請戸は津波で壊滅され約200人の人が死にました。

 2011年3月11日に逃げて、12日は1号機が爆発し全町避難となった。避難について浪江町役場からもどこからも連絡も指示はなく、ひたすら逃げて、山間部の津島に7~8000人の人が4日間とどまっていました。3月14日には3号機が爆発し、3月15日になってようやく役場から連絡がありましが、それは「とんでもない放射能が津島に来ている」という連絡で、みな大慌てで、総崩れの状態で二本松の東和というところに逃げこんだ。浪江町からはほったらかしにされ、原発の連続爆発の中を「逃避行」を続けました。あの情景を僕は忘れません。津島には自衛隊の装甲車がずらっと並んでいました。部隊も大垣ダムの手前にテントを張って野営していたんです。ところが、あっという間にいなくなるんですね。まさに戦場のような雰囲気でした。それから、浪江町の住民は散り散りになりました。
 浪江町は小高・浪江原発反対運動があって、用地買収は98%まで進んで反対運動は崩れたんですが、反対の地権者が2人残ったんです。2%の土地がどうしても買収できないということで白紙に戻ったんです。しかし、3.11がなかったら今頃7号機8号機の建設工事になっていたかもしれません。
 僕は浜通りのあの地域は原発銀座、原発中毒の場所と言うんです。いいも悪いもなく、そういうものにみんなが巻かれて、役所もそれにぶら下がって、あるいはたかっていたんだと僕は思います。
 福島県の海岸線には発電所がずらっと並んでいます。いわきの勿来(なこそ)共同発電所、でかい広野火力発電所、福島第一原発、第二原発、原町火力発電所がある。相馬の方には東北電力と東電との共同発電所がある。その電気は関東、首都圏、東京にいくんです。埼玉県750万人の電力は福島県が支えるんです。茨城県300万人も、東京1500万も支えるんです。60年間そうしてきました。福島は電力供給植民地で、ただただ電力を供給する、それが浜通り地方です。追い出されて、ようやくとんでもないことだと気づいたわけです。避難ということは本当に大変でとんでもないことだったのです。

 僕は渋谷のスクランブル交差点で街宣しますが、「渋谷の電気はどこから来てるんだ。いまも福島が支えているんだ。福島からの避難の人をいじめないでくれ。なんで放射能ばい菌なんて言うんだ。なんで福島から嫁をもらうななんて言うんだ。東京オリンピックがやられるって言うけどふざけんな」と言ってきたんです。渋谷駅周辺はものすごいビルがまばゆい光を放って大量の電気を使っています。福島の犠牲の上に、福島を差別して東京のこの無限の一極集中、東京大都会のエゴの姿が東京オリンピックだと思っています。
 東京に対して、じゃあ、僕たちの浪江はどうなのか。もう「さよなら」です。今年正月の役場の発表では、戻った人は1300人です。作業員の方も含め1700名です。これが今の浪江の姿なんです。町は更地です。思い出の浪江小学校、中学校は解体工事で全部更地。オリンピックの最中にそれをやりました。浪江の人たちは心が折れてしまうんです。浪江の人たちは自分たちのルーツが根こそぎ引っこ抜かれて追い出され、散り散りになってしまった。避難した人たちはそこで新しく家をつくった。移住なんです。もう帰るのは難しいんです。かつて浪江町には小学校が6校、中学校が3校で1700人いた。高校は2校あった。全部廃校になりました。いまは創成浪江小中学校に子どもたちは40人で、スクールバスで隣の南相馬から通うんです。はっきり言います。アリバイの町なんだ。中身のない、人は住まない空洞化した町、形だけを残した町なんです。自治体存続の意味があるのか。国からは道の駅「浪江」や港の整備に金はきます。でも請戸にはもう誰も住めないんです。それなのに、「請戸の魚を食べましょう」「シラス、刺身定食」。それが町のメイン宣伝なんです。印刷物はみんな請戸というマークをつけている。請戸キャンペーが行なわれているんです。僕は街宣車を走らせて言います。漁港から6キロのところに汚染水が放出されて請戸が成り立つのか。成り立つわけはないだろう。請戸漁港も難しくなるといいます。

 昔、1980年にホッキ貝にコバルト60が見つかりました。東電は昔も放射能を流していたんです。大騒ぎになって、浜通りではホッキ貝もなにも売れなくなって東電は総額5億円の弁償をしました。汚染水放出が始まったら、そういうことの繰り返しだと思います。去年1月過ぎに相馬沖16kmのところで1400ベクレルの黒ソイという魚が見つかった。国が決める14倍。福島県知事・県庁は国の言いなりで、内堀知事は東京に行って、常磐ものの魚の宣伝をやっている。「カレイ、おいしい、安全だ、安心だ」と言っている。嘘です。福島県漁業の安心・安全を誰が守るのか、これが大事なのです。みんなの食生活にダイレクトに結びつく大事な問題なのです。今年の2月7日にはスズキから85ベクレルが検出された。汚染水放出後はそういうことがどんどん出ると思います。
 北茨城市の大津漁港はインチキをやったんです、基準値を上回るレベルの白魚の加工品をなんとか売ってしまおうと漁協がもめたんです。良心的な漁協職員が内部告発をしました。そしたらその人は組合長に首を切られ、いま裁判をやっています。漁協だってバレなければ市場に売ってしまうことをやるんですよ。福島県の魚の検査は、僕はザルだと思うんです。全量検査などしない。お米は全量検査をしました。だけど今日あがる魚はサンプル検査、ごく一部の魚しか調べない。だからもっと検査の精度をあげて、調べる放射性物質の種類も60種くらいにする、東電は20種類に絞ろうとしてます。経産省などはトリチウムしか言いませんがそうではない。海洋放出を続けていけばあの水俣の海になるんじゃないかと考えました。チッソは有機水銀の海水を薄めて流し続けて水俣の海になり、水俣病になり、長い裁判闘争にもなりました。そしてやっと国は責任を認めて補償になりました。
福島の原発汚染水のタンクの底はそうとうヤバイそうです。爆発原発の汚染水なんで底に沈殿している。それを薄めて安全だと海に流す。そんなのあり得ないよね。
吉澤さん

 僕たちは福島で生きていくしかありません。僕は折り合いをつけていくしかないと覚悟してるんです。それで死んじゃうということでもないので。そうでなければ浪江の復興なんてないんです。覚悟してもそこに家族や子ども連れて戻るというのはハードルは高すぎるからみんな帰って来ないですよ。
 いま福島県では、すごい地震が毎年来ている。日本一地震が多いところです。福島県は地震や津波は終ってないと思います。いまつくっている堤防は7mくらいですが3.11の津波は15mです。堤防を軽々と乗り越えて双葉町の伝承館周辺、復興拠点の中心は泥だらけ、水浸しになるんですよ。でも10mの堤防をつくるとなるととてつもない大工事になり費用対効果で10mが限度です。相馬共同火力発電所は去年3月の地震で、8ケ月間停まりました。これからも大地震で首都圏「計画停電」があると僕は見ています。

 僕は先日舞鶴に行きました。ここは高浜原発、原子炉に制御棒を落っことしちゃって放射能漏れ寸前のトラブルのあったところの近くなんです。福井県の原発自体も危ないです。
 舞鶴は海上自衛隊の、日本海側の唯一の基地があります。空母が、イージス艦が、護衛艦がずらっと並んでいる。いま海上自衛隊の司令部を地下につくる工事が始まるんだそうです。僕はカウ(cow)ゴジラの街宣車で、「そんなものをつくって意味があるのか」「ウクライナ戦争を見ろ。ミサイル雨あられだ」「アメリカもロシアも地下何十メートルも深く貫通するバンカーバスターミサイルをもっている。そんなものつくったつてナンセンスだ」と街宣しました。自衛隊の空母だってミサイル攻撃を受けたらたまんない。ウクライナ戦争でロシアの空母「モスクワ」がミサイル2発でぶち壊されたでしょ。

 舞鶴というのは僕の親父が、シベリア抑留の末に引き上げてきて上陸した場所なんです。アジア太平洋戦争のとき、日本は国策として中国大陸に侵略を行ない、そこに満州開拓団を大量に送り込んだ。誰がやったのか。岸信介です。忘れちゃいけない。日本は戦争に負けて、満州開拓団はひどい目にあいました。関東軍、満鉄の連中はさっさと逃げ、開拓団は取り残されました。沖縄の戦争末期と同じような光景、集団自決がそこら中に起きたんです。そして子どもたちが置き去りにされて残留孤児になった。ウチの親父は『僕ら開拓団』という記録集の中で書いています。「(開拓団は)子どもたちを、親を銃で殺してしまった」。生前そのことは決して言わなかったんですが。そしてバイカル湖のほとりのマイナス30~40度Cのところで森林伐採の強制労働を3年間をやった。大勢の日本の仲間はそこで死んだそうですけど、親父は生きて帰れた。僕は安倍晋三と同い年なんです。安倍政治のルーツは何なんだ、岸信介だ。僕のルーツは何なんだ。親父の満州開拓、シベリア抑留なんだ。ウチの親たちがそういう時代を通り抜けたから、僕はそういう時代に戻ってはいけない、原発の放射能もれの浪江のような姿をつくってはいけないと思います。そのために、僕は残りの人生を、浪江の語り部として続けていきたいと思います。

 あの大震災のなかで、人々は、人間はどのように命を扱ったかです。震災関連死は浪江町で450人。10人近い自殺者。役場の近くに帰れた人が、90歳代のじっちゃんの面倒を見ていた50代の娘さんがじっちゃんを殺して自分も自殺したんです。役場の近くなのに何か月もたってからそれが見っかったんです。浪江の津島の人が腹を斬りました。切腹です。人は自分の腹を包丁で切って死ねるか。死ねない。三島由紀夫だって、切腹してすぐ仲間に首を落としてもらっている。浪江の人たちの無念の気持がそういうすごいことをやったということに僕は衝撃を受けました。

 僕ができることはカウゴジラの街宣車で北海道から沖縄まで出かけることだと決めたんです。僕は沖縄に行って、ようやく沖縄の皆さんの基地問題の苦しさを理解できるという気持になったんです。国策の根幹である米軍基地問題と原発事故の問題はあまりにも根が深く相手が巨大です。でも沖縄の皆さんを学んで、連帯をしながら戦争に戻らないこと、原発事故が起きないことを願います。僕らは言っているだけ、思っているだけではだめなんです。行動なんです。行動によって道をつくるんです。

 僕は「さようなら浪江町」を掲げて町長選挙に立候補しました。怒る人もいた。「やめろ『浪江町さようなら」という表現は」と。浪江町役場のところには「おかえりなさい浪江町」という看板が出ています。僕は言いました。「帰ってこないじゃないか。その見通しもないじないか、だからさようならなのだ。村になっていくんだよ。そのことはみんながわかっている現実なんだよ。人が戻らず、人がいないんだから。アリバイなんだ」
 オリンピックの時、オリンピック歓迎式典で、漁協の人が大漁旗を振った。僕は言った。「コロナパンデミックの中で何百万人も人は死んでるのにオリンピックが成功するわけはない」「漁師のみなさん!オリンピックの後に来るのは汚染水放出じゃないか。なんで請戸漁協のみんなは闘わないんだ。反対運動に立ち上がらないのか。『腰抜けか』」。若い漁師が怒って出てきてケンカになって、警備の警官が出てきて「式典なんで、けんかなんかしないでくれ」。僕は「こっちは本気なんだ。原発の地元で、漁業補償金にまみれた、そういう場所ですよ、請戸は。繰り返し繰り返し補償金をもらって。結局は自分たちの首をしめる未来予想図は迫っているわけです」と言いました。今年の正月の出初式で、漁師は「俺たちは汚染水放出を理解もしてない。反対だ」と言っていました。でも行動はないんです。浪江の未来を考えたとき、なんとか抵抗して闘っていかねばと思います。

 あとね、いま浪江町の高瀬川の水がおいしいと話題なっています。「モンドセレクションで金賞受賞した」とイオンスーパーや道の駅で売っています。ところがその高瀬川は渓流釣りは禁止です。いわな、やまめ、鮎には放射能が出ます。でも町営ポンプ場で汲み上げた水がおいしいって売り出しているんです。「逆転ひねり技の復興宣伝」です。12年前放射能が一番流れていたその場所だったのにリセットなんです。「問題ない、おいしい」。「前を向け、後ろを向くな」。復興の縛りがガンガン始まってるんです。でもみなさん、絆はもう終わったんです。町民は帰ってこない。みんなそのことを知っているんです。

 人間として生きていく大事なすじ金は希望なんです。絶望状況のなかにあって、人間が最後にたよる大事なすじ金は希望なんです。それは与えられるものではなく、用意されるものではないんです。自らが考えて、自らの行動によって、希望をつくるしかないんです。だからわれわれはつぶされてはならないんです。
 僕たちは原発事故の被害者です。避難民です。被曝民です。なんでふるさと浪江を追い出されて流浪の民になったのか。なんでチリジリになって、よそで小っちゃくなって人生が終ってしまうのか。僕らはあまりに無念が深い。その無念を怨念に転換する必要があります。原発の時代を終わりにするんだ、国を相手にそのマグマのような怨念をもって闘うんだ。これはぼくらのカウゴジラの名前の由来です。ビキニ水爆実験で始まったゴジラの話はまさに僕に、原発事故で牛たちに放射能が降り散り、僕たちの身体にも放射能が入った。でもそれを糧として僕はつぶされない。僕は闘うんだ。原発事故を逆転させる、そういう残り人生にしていきたいと思っているんです。

※「ゴジラ」誕生は、映画公開と同じ年に起きた「第五福竜丸事件」。西太平洋のビキニ環礁」付近で操業していた日本の漁船が、米国の水爆実験による降灰を浴びて被爆した事件である。この事件が「核実験によって太古の眠りから目を覚ました怪獣が、安住の地を追い出されたことに怒り、東京を破壊する」という構想につながった。

※広島市教育委員会は、2023年度の小学生の「平和教育教材」から『はだしのゲン』を削除し、中学生向けの「平和教育教材」から、マグロ漁船「第五福竜丸」の記述を削除する。岸田内閣の「原発政策大転換」と同じ。


↑このページのトップヘ